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漢方の相性 −証って何?−2016年02月09日

こんにちは!立春を迎え、太陽の光や風に春を感じられるようになってきましたね。
今回は漢方薬を出す際の見極め方の一つを紹介したいと思います。

漢方に、「証」というものがある事をご存知でしょうか。
「証」というものがあるからこそ、漢方が難しいと言われる理由なのです。
これがなければ、もっと簡単に漢方が分かるはずなのに・・・。

<「証」って何??>
「証」とは、一言で言えば、「人間のタイプ」を指します。
みなさんは、これまでの経験で、「あの人は~っぽいよね。」とか、「あの人は~タイプだよね」とかいった具合に、人をそれぞれタイプ別に分けたことはありませんか?
一番一般的で判りやすいのが、血液型タイプかもしません。
それと同じような感覚で、昔の人も人の体質や病気をタイプ別に分けました。
これを「証」と呼びます。

もう少し詳しく漢方学的に「証」を説明させて頂くと、
四診(望診、聞診、問診、切診)(会って、観て、聞いて、話して 診断をする)(脈を取ることもある)により患者さんをタイプ別に分けます。
このタイプの分ける基準は様々あり、
「八網弁証」(陰陽・寒熱・虚実・裏表)
「臓腑弁証」(五臓六腑)
「気血津液弁証」(気血水)
「六経弁証」「病因弁証」「経絡弁証」「衛気営血弁証」「三焦弁証」などがあります。
しかし、このように難しい言葉を並べるから余計に判りにくくなるわけで、つまりは
「~式勉強方」の様にある一定の基準を作り説明しただけに過ぎません。

漢方は「人が人を診る医学」

あれれ?
では、その「証」に正解はないのではないか???
勘のよい方はそう思われたかもしれません。
そうなのです。
この「証」は実は、確実ではありません。
つまり、その漢方医それぞれによって「証」の見立てが変わってきます。

私達でも、ある特定の人を見るときにそれぞれ見方が違いませんか。
例えば、Aさんのことを、B君は「誠実だ」といい、
C君は、「偽善者」だと言う。
またD君は、「仙人の様に心が広い人だ」と言うが、E君は「優しいだけで気の弱い人だ」と言う。
このようなことが漢方の「証」にもおこりえます。
「証」と科学的に証明し点数化する事が出来れば、ガイドラインの様なもので一本化する事が可能ですが、残念ながら「タイプ」を点数化することが出来ないのが現状です。
なぜなら、漢方は、「病気を診る医学」ではなく、「人が人を診る医学」だからです。
ガイドラインはありません。
西洋医学は、まず病名を見出し治療していきますが、漢方は、病名ではなくその人自身を診て治療していきます。

では、その「証」を当てるには何が必要か??
それは、『漢方医の知識』、『漢方医の経験』や、『漢方医との相性』です。
●知識・・・ある一定以上の知識は必須です。これが無いとどんなにセンスのある漢方医も意味がありません。
●経験・・・これは人を診る上で欠かせないものです。漢方処方にはガイドラインが無い以上、自分の経験がガイドラインになります。
●相性・・・これは、患者さんと漢方医の相性になります。どんなに腕の良く経験豊かな漢方医でも、相性が悪く信頼関係を築けなければ適切な処方が出せません。
つまり、
この「証」の見立てが悪いとその漢方医の出した処方は効かず、それどころか、逆に悪化します。
しかし、この見立てがばっちり合っていると症状や疾患は治ります。

漢方は難しく、奥深い・・・
みなさんも、知識、経験を持つ、そしてなにより相性のよい漢方医を見つけてみてください。
今、お悩みの病のお役に立てるはずです。

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本草閣鶴舞本店の頼もしい薬剤師男性軍

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