|
本草閣かわら版 116号(H21 8/22発行)
◆ 元気と若さを手に入れる!! ◆
~元気を出す動物原料の漢方薬について~
漢方薬の原料となる生薬には実に様々なものがあり、95%は植物性
の葉・根・茎、葉、花、樹皮、果実、種子・等々ですが、5%は鉱物性・
動物性のものです。
動物薬例
・阿膠(アキョウ):ウシ、ロバなとの皮からつくったニカワ
・蝉退(ゼンタイ):セミの幼虫のぬけがら
鉱物牲例
主にミネラルを取り入れる役目で、古代の化石や石、宝石でよく知
られる琥珀も薬にしてしまいます。
牡蛎(ぼれい:カキの貝殻)、
竜骨(りゅうこつ:哺乳動物の化石)、石膏、滑石
この動物性漢方薬の中でも代表的なものは牛黄、熊胆、麝香、鹿茸で
「元気を出す」「疲れを取る」「精力を強くする」「動悸を取る」・
等に多く用いられます。
・牛黄(ごおう)・・・牛の胆石を乾燥させたもの
強心作用・造血作用・鎮静作用・解熱作用・鎮痙作用・
肝機能改善作用・疲労回復作用
@一言で言うと「心臓から出た血液を身体の隅々まで巡らせる」
60歳以上の方・疲れやすい方・動悸息切れの方・
病が改善しない方に。
・熊胆(ゆうたん)・・・熊の胆嚢を乾燥させたもの
─熊の胆(くまのい)
消炎作用・鎮痛作用・鎮静作用・解毒作用・
@一言で言うと「胃と肝臓の特効薬」
胃や肝臓の心配な方に。
・麝香(じゃこう)・・・ジャコウジカの香嚢(においふくろ)
の分泌物の乾燥品
ムスク(musk)
血液循環促進作用・強心作用・意識障害改善作用・
脳血管障害改善作用・精力回復作用・疲労回復作用
@一言で言うと「最高の強精剤」
より精を強く出したい方に。
・鹿茸(ろくじょう)・・・シカのまだ角質化していない幼角を乾燥
したもの
強壮作用、強精作用、長寿作用、若返り作用、美肌作用
@一言で言うと「最高の栄養剤」
癌の方、高齢の方、身体を大事にされている方
精力を求められている方
肌をスベスベに若返らせたい方
鹿茸の入った漢方薬は鹿茸大補湯(ろくじょうだいほとう
全18種の生薬配合)と言い、四百年ほど前に完成された東医宝鑑
に記載される「長寿の薬」として知る人ぞ知る漢方薬の最高級
煎じ薬です。
最高の強壮剤・強精剤は・・「牛黄+熊胆+麝香」の組合せです。
大変高価(一日分¥.4000程)な漢方薬ですが、効果は高いです。
牛黄・熊胆・麝香それぞれ単独でも用いられますが、体質や症状など
人によっては、他の薬剤と混合した方がいい場合もあります。
<牛黄 こんな時に…。>
貧血、冷え性、虚弱体質、元気回復、病中病後
→赤血球を増やし貧血や立ちくらみ、血色不良等を改善。
脳卒中、脳梗塞、脳血管障害、狭心症、動脈硬化、高血圧、認知症
→血栓の生成を抑え、血流を改善。
毛細血管を拡張させ、血行を改善。
心臓病、狭心症、動悸、不整脈、息切れ、むくみ、低血圧
→心臓(心筋)の働きを高め、動悸、めまい、むくみ等軽減
不眠症、神経症、神経質、緊張症、気鬱症、ストレス過多、頭痛
→神経の興奮を和らげ、イライラ、不眠等の症状を鎮静。
やる気を起こさせる。頭すっきり。
風邪、感染症等の発熱、原因不明の発熱、風邪の諸症状
→体内の各所の炎症を抑え、内臓疾患から体表疾患にまで広く
役立つ。
病気をこじらせて、体の中に入り込んだ熱を体外に発散させる。
手足の痺れ、腹痛、肩凝り、咳、喘息
→手足のけいれんをはじめ、腹痛やさしこみなどの症状に○。
慢性肝炎、肝硬変、肝ガン
→胆汁の分泌を盛んにするとともに、肝臓の働きを助ける。
~民間薬よもやま話~
◆ 第64回 牛黄 ウシ(胆石)ウシ科
名の由来『大和国の国栖(くず)が葛粉の産地』
春風や 牛にひかれて 善光寺 小林一茶
牛は八千年程前から家畜化され、現在の日本の牛は、弥生中期に
渡来人が連れてきたと考えられています。以来、牛は生活に欠かす事
の出来ない動物となりました。薬用としては角、涎、糞、尾、腎臓、
歯、眼球、胆石(牛黄)等、様々な部位が古くから用いられてきました。
胆石 ─ 牛の胆石のことを牛黄といいます。
牛千頭に一頭の割合でしか発見できない大変貴重なもので、形は約
1~4cmの不規則な球形、又は角のとれたサイコロの様な形で、赤み
がかった黄褐色をしており、割ると、木の年輪の様な同心円状の層が
あり、口に含むと苦味とほのかな甘味があります。
牛黄について、日本最古の法典「大宝律令」には、もし牛黄が見つ
かったら必ず中央政府に献上しなさい、と記され、また、中国最古の
薬物書『神農本草経』には、牛黄は上薬に分類されています。
上薬というのは、「命を養う薬」という意味で、毒が無く、元気を増
して老化を遅らせ寿命を延ばすという概念の薬です。
当時より、牛黄は治療のみならず予防医学的にも使われていたようです。

|