1830年創業 和薬・漢方 本草閣 名古屋鶴舞

恋を邪魔する水毒2016年07月17日

前々回と前回と「気」「血」の話が続きましたので、もうお分かりの方もいらっしゃるかと思います。
そう、今回は「水」です。

「水毒」という言葉を聞いたことはありますか?
「水毒」とは、読んで字のごとく、体内の水が悪さをして体調不良を呈することです。
では、この「水毒」になるとどのような症状が現れるでしょうか。
今回は、恋する男女編で例を挙げてみましょう。

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初デートの障害は「水毒」?

明日は初めてのデート。お互いに緊張です。
女性は前々から服を決め、男性はレストランを予約。
しかし、女性はもうすぐ生理が来るため、体調が優れず、肌の調子も悪く化粧のりも悪い。しかも最近気温差が激しく、その影響で足の冷えが著しい。加えて前日に女子会があり、ワインを飲んだ上に天候(低気圧など雨模様)の影響で顔も浮腫(むく)んでパンパン、、、。
当然、顔の化粧仕上がりに愕然。
さらにこの日に着ようと決めていたスカートとヒールの靴が、この浮腫んだ足では様にならないどころか履けない!
そう、浮腫(むく)みは女性の大敵です。

さらに、「水毒」は浮腫みだけでありません。
二日酔いも「水毒」の症状の一つです。
よって、男性もしかり。
明日のためにスマートなエスコートをしようと前々から素敵なレストランを探し予約したのに、前日の会社の飲み会で調子に乗りつい飲みすぎた。
案の定、翌日は二日酔いで気持ち悪いし、頭痛もする。もちろん全身が浮腫み、しかも皮膚は乾燥状態。
果たして、二人の今日のデートはどうなる???

女性に現れる「水毒」の症状

まずは、女性に現れる「水毒」の症状について。
特に女性は男性より浮腫みやすいのです。
• 生理前後のホルモンバランスの崩れ
• 冷えにより血行が悪くなり同時に水代謝も悪化
• 筋肉が相対的に男性よりも少ないために足などの水が循環しにくい
・・・など、浮腫み一つとっても、さまざまな要因があります。
女性に現れる「水毒」の症状の原因は非常に多岐にわたるのです。
よって、女性によく処方される漢方薬のほとんどには、水を代謝させる生薬が含まれています。
(もちろんどんな病でも、水を代謝させる漢方だけではなく、気や血や冷えも改善させ、体を根本から整えることが基本です。)
今回のケースで漢方を処方するのであれば、浮腫みだけを見るのでなく、長期で体質改善を目標とし当帰芍薬散や桂枝茯苓丸、などもいいかもしれません。

男性に現れる「水毒」の症状

一方、男性は浮腫むことももちろんありますが、健康な男性の場合、その原因は女性のように複雑ではありません。「水毒」の症状は出ても、女性と比べると、その要因は比較的わかりやすいです。
今回は、二日酔い、といった明確な「お酒」という原因があります。
お酒は水分代謝を悪くします。
お酒を飲むとすぐにトイレが近くなるように、お酒は「水」と非常に密接な関係にあります。
そのため二日酔いの主な症状である、浮腫み、肌の乾燥、頭痛、胃の不快感・・・などは「水」を代謝させることで改善することが多いです。
五苓散という漢方処方を構成する生薬はすべてと言っていいくらいに水に関係するため、今回のような二日酔いの症状にも非常に有効です。

漢方は恋の味方?

今回の女性の漢方処方は即効性に欠けますが、これをきっかけに体質改善すれば浮腫みだけでなく、冷え、PMS(月経前症候群)、肌のコンディションなど気になる症状が徐々に改善でき、ひいては情緒も安定してきます。
体調に余裕が出てくるので、女性らしい気遣いやほほ笑みなどが引き出されれば、モテる要素がグンっとアップすることでしょう。
この恋だけでなくそれ以外の恋が成就する可能性が歴然と高くなります。(笑)
男性に関しては、今回のデートではこれら二日酔いの症状がなくなるだけで十分ですよね。
次回以降のことについては、自身の努力次第・・といったところでしょうか。(笑)

今回は「水」のお話でしたが、漢方は一般的に一つの症状を改善させる処方は少なく、ほとんどは総合的に体調を改善させます。
また、「気」のところでお話したように体調だけでなく、精神面も安定させます。
漢方は、恋の面からみても非常に心強いパートナーかもしれません。

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